フィンテック編
”決算を見る”シリーズ第4弾。ここではテーマ別に出てくる特有のポイントを紹介していこうと思います。今回は決済関連(フィンテック)に関わるビジネスをしている企業の決算をテーマにしました。ポイントを読み解く力が付けばさらに決算書を見た時の評価が変わってきますので是非ご覧ください。
何に注目すべきか
総決済取引額 (GMV)、決済手数料(%)、アクティブアカウント数に注目します。
通常、決済手数料が収入源になるビジネスモデルになっていることが多いので総決済取引額(GMV)が高いほど売上高(Revenue)が伸びやすい傾向があります。
但し、総決済取引額(GMV)が上がったからといって必ずしも売上高が上がるとは限りません。「総決済取引額(GMV)×決済手数料(%)」が売上高に反映されるので、「総決済取引額(GMV)は上がったけど、決済手数料(%)が下がった」ということであれば逆に売上高は下がる可能性もあるからです。
更に、アクティブアカウント数(利用者数)も売上高に大きく関わってきます。
「総決済取引額 (GMV)=利用者数×決済回数×決済金額」という構図になっているので、アクティブアカウント数(利用者数)も増加傾向にあるほうが望ましいです。他にも決済回数(Transaction)や、利用者単価、決済単価も決算時に発表されていたらその辺も見てみるとよいでしょう。どれも増加傾向にあるほう望ましいです。
それぞれが上がっている時はいいのですが、例えば売上高が下がった時、上記のことを理解しながら決算をみてみると何が原因で売上高が下がったのかが見えてきます。競合他社との競争で収入源となる手数料を下げたことが原因だったとか、なんらかの社会情勢の影響で決済回数や利用者数が減ったことが原因だったとか、それは一過性のものなのか、それとも長期的なものなのか、など読み取れると思います。
このような点を注意してみてみると、今後の投資判断材料の一つになるのではないかと思います。
是非売上高やEPS以外にも注目して決算を読んで見てください。
GMV(Gross Merchandise Volume)
総決済取引額のこと、決済取引量、決済額、流通取引総額でも多少の言い方が違っても同じ意味を持ちます。そのECやプラットフォームで消費者が購入した商品売上の合計額を表しています。主に、ECと関わりが多いビジネスで用いられているように見えます。
似たようなもので、「TPV(Total Payment Volume)」や「GPV(Gross Payment Volume)」というものもある。各企業が「取引総額」をどう呼ぶかの定義が違うだけで、我々から見ればGMV、TPV、GPVも大体同じものと考えてよいです。
[主な企業での呼び方の違い]
Visa (V) – Payments Volume
PayPal (PYPL) – TPV(Total Payment Volume)
Square (SQ) – GPV(Gross Payment Volume)
Affirm (AFRM) – GMV(Gross Merchandise Volume)
Sea (SE) – GMV(EC部門にて)、TPV(電子決済部門にて) の2種を各部門にて使い分けている
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