決算を見る(基本編)

投資知識

決算とは

簡単にいうと、企業の経営や財務状況の報告書です。決算は英語でEarnings(アーニングス)と呼びます。学校で言う成績表みたいなものですね。

米国では通常年に4回決算発表(四半期毎)があります。会社ごとに発表日程はバラバラです。米国では1/4をQuarter(クオーター)と言いますので、頭文字を取ってQ1とかQ2のように表記されています。

決算の重要性

米国株投資家は決算結果を必ずと言っていいほど見ています。決算次第では今持っている株を引き続きホールドするか売却するかの判断をこの決算結果から行うことが多いです。

決算書は学校の中間試験や成績表みたいなものと思えばよい。私たちは親(投資家)の立場で、子(企業)が出す成績をじっくりチェックするということに等しい

せめて自分が保有している銘柄くらいは見てほしいと思います。日ごろからチェックしておかないと知らない間に酷い成績を出して取り返しがつかなくなるかもしれません。

具体的に決算の何を見る?

初心者には決算書を読み解くにはかなりしんどい作業だと思います。ましてや英語に慣れていない方も多いと思うので、決算書見た瞬間に諦めモードになるのではないかと思います。英語が読める私ですら初めて見たときは「長い・・」って思いました。

そこでポイントだけ抑えたチェック項目が下記の通り

・EPS(Earnings Per Share)
・売上高(Revenue)
・ガイダンス(Guidance)

この3つがコンセンサス(Consensus)よりも数字が上回っているかで〇か×を付けることが出来ます。コンセンサスとは企業分析のプロであるアナリストの業績予想平均を指します。コンセンサスを超える数字(又は同じ)であれば〇とし、未達であれば×と判断します。

まず始めはこの部分だけでもよいので、決算に触れていくといいと思います。米国株投資の基本中の基本でだと思ってます。寧ろこれをチェックしないと売買の判断が難しいとおもいます。

ツイッターを活用して他人がレポートしてくれているものを拝借するのもスタートとしてはいいと思います。しかし、投資を続けていく気があるのならいずれ必ず自分自身で決算書を見ることを強くおすすめします。他力から自力に移行できてこそ脱初心者への道だと思います。実際自分自身でみれるようになると他人から提供された情報以上に発見がありますし、読み解くスピードも増してきます。

EPS、売上高、ガイダンス、コンセンサスの中身について後半で詳しく書いていきますので、まずは外枠だけ理解したら次へ進みましょう

買い・売り判断

通常、決算結果がEPS、売上高、ガイダンスの3つ全てがコンセンサスを上回ったのならその決算は良かったということになります。その企業の株は買いであるまたはホールド、買い増しOKという判断となります。

逆に決算しくじった場合は売り対象となります。

こうやって強く綺麗なポートフォリオを保つことが出来ます。

中には数字上決算しくじっている場合でも、その企業が若い企業なのか老舗の企業なのかで許せるか許せないかの判断が変わります。オニールも基準は違えど同じようなことを言ってます。若い企業であれば厳しく判断する、理由は一度ミスした企業は2度3度とやらかす、癖になるという。

老舗企業であれば長年やっていれば何年に一回くらいはミスしても許せるということ。なぜかといえば過去に実績があるから、例えばクラスに成績優秀な子がいたとして、常にテストでいい点とっていたとしても1度くらいはミスることくらいあるという話。

逆に、何度も決算ミスしている企業が急に良い決算を出したとしても、一過性のものかもしれない、たまたまかもしれないと疑いの目で見る。例えば、学校の成績が悪い子が急にテストでいい点とったとしても、それが継続できるかは経過観察が必要であるのと似ている。

他にもその企業の商品やサービス特有の理由から、実際の売上はあるのに規定上それらを決算の売上高に加えれないタイミングがあって、表向き数字上の決算をミスることもあるし、単純な数字だけでは見えないものも時々あるという事。この辺は今は難しいと思うのでまた別の機会に。まずは決算が〇か×かだけで判断して十分だと思います。

決算の読み方

まだ決算を見たことない人、これから自分で見てみようと思っている方向けに書いています。

決算結果ってどこにあるの?

一番シンプルなのは各企業のホームページに行けば見れます。但し、正面からホームページを開いても通常の消費者向けのページに繋がってしまうので、別の方法で投資家向けのページを開く必要があります。

その投資家向けのページというのは、「Investor Relations」、「IR Information」、「Investors」などと書かれたページが投資家向けのページです。まずこれを見つけましょう。

通常のホームページにアクセスしてからリンクを探すのもいいですが、各社ホームページのデザインが全然違うので毎度探し出すのが面倒だと感じてる私は、「IR 企業名」で検索しています。検索結果1ページ目に出てきます。

AAPL(アップル)で試してみましょう。
まず先ほど説明したように検索バーに「IR Apple」で検索します。

あっさりと出たと思います。このIRのページが投資家向けの情報がつまったページになります。
早速開いてみましょう

ページをスクロールダウンしていくと、Quarterly Earnings Reports(四半期決算レポート)というのがあると思います。ここにあるのがAppleの決算情報があるファイルだったりページだったりします。
当然ですが各企業によってページデザインや使う言葉まで違うのでこの限りではないという事です。一例として見てください。

キーワードとして、四半期決算を見たければ「Quarterly」が四半期の意味を指しているのでこれを見つけると早いです。他にも「Q1」とか「First Quarter」とかいうような書き方のものも同じです。

また「Reports」や「Results」というキーワードがあればなんらかの報告書や結果を表すのでQuarterのキーワード合わせてみつけられればほぼビンゴです。

見つけたところで、リンクが2,3個あってどれを開くのが一番いいのかわからないと思います。まだ慣れてない初心者さんは「Press Release」とか「Presentation」というキーワードが入ったリンクを開くといいと思います。
これも企業が出す資料なのでデザインセンスがまちまちですが、決算書の簡易版と思って頂くとよいかと思います。白黒の文字と数字だけの書類ではなく、わりとカラーが使われていてグラフも用意されていて、サマリーなんかも出ている場合が多いので見やすいと思います。

EPSについて

EPSとはEarnings Per Shareの略語です。一株当たりの利益を意味します。

他にも「〇〇 Per Share」が付いた言葉を見かけることが多いと思います。このPer Shareというのは「一株あたり」を意味しますのでついでに覚えておくとよいでしょう。

EPSもいくつか書き方が違うので迷う時が出てくると思います。
Earnings Per Share
Earnings per diluted share
Ajusted earnings Per Share

etc

この様に似たようなのが沢山あります。

ここ決算においては、「Non-GAAP」や「Ajusted」という単語が付いたEPSを見てください。それがなければ「Diluted」という単語がついているものでも良いです。その数字がコンセンサスと比べる対象の数字となります。

また「そもそもEarnings Per Share自体見つからない!」って場合、恐らく「Loss Per Share」や「Net Loss Per Share」という表記になっている可能性が高いです。利益がプラスではなくマイナスの場合EarningsではなくてLossって言葉を使って表記する場合があります。
マイナスの場合「 (0.12) 」のようにカッコで数字が囲まれています。それは「-$0.12」という意味ですので読み間違えないようにしてください。

売上高について

英語では通常Revenue(レヴェニュー)が使われます。通常「Revenue」又は「Total Revenue」が総売上高として表記されていますが、見つからなければ「Total net sales」とか書かれている数字がその四半期の総売上高になります。その数字とコンセンサスの数字を比べることになります。

ネットではRevenueを「Rev.」のように略されることも多いです。

ガイダンスについて

ガイダンス(Guidance)とは次期または通期の業績予想/見通しを意味します。企業自身が発表するものです。

よって、売上高やEPSと違い、必ず発表されるものとは限りません、企業によってはガイダンスを出さない企業も多くあります。ガイダンスという表記以外にもOutlook(アウトルック)という表記で次期、又は通期の見通しを発表しています。

ガイダンスに出てくる情報も企業によってかなり違いますが、基本的に重要なことが多いです。中でも、EPSと売上高が出ていれば、その数字をコンセンサスと比べて上回っているかを見ます。
見通しの数字になるので、「$100M~$130M」のようなアバウトな数字の出し方をすることが多いです。その場合、平均値で数字を出します。
つまり、($100M+$130M)÷2=$115M この「$115M」がガイダンスの数字としてコンセンサスと比べます。

数字以外にも文章で「売り上げは徐々に落ちてくるだろう」など、なんらかの未来の見通しの情報が出ていることが多いので要チェック項目であります。

ガイダンスが発表されていなければ、最初に言っていた3項目の確認ができないではないか、と思うと思います。はい、できないので仕方ありません。EPSと売上高だけで決算〇×判断します。

コンセンサスについて

アナリスト達の予想平均値です。アナリスト達が事前に今期のEPSは$0.30、売上高は$456Mになるだろうとそれぞれが予想を立てるわけです。そのアナリスト達が出した予想数値の平均値をコンセンサスの数字として取り扱います。

少し厄介なのは、そのアナリストというのは完全に決まったアナリストではなく、コンセンサスを出してるWebサイトによってアナリストが違います。当然予想数値も変わってきます。一般的にはYahoo!Financeの数字が多く使われているように感じます。優秀なCNBCのニュースで出される数字もYahoo!Financeといつも同じなので結構この辺が一般化されている数字だと思ってます。私が決算ツイートするときも必ずYahoo!Financeの決算直前の最新の数字を使って送ってます。

もう一つ注意点としては、コンセンサスの数値は常にアナリストによって修正されながら変化しています。よって私たちがコンセンサスの数値をみるタイミングによっても変わってきます。決算直前の数字と決算1か月前の数字では、その間にアナリスト予想も変わってきてるので数字が違います。なるべく決算直前の数値を見ることをおすすめします。

またネットではコンセンサスのことを「est.」(Estimateの略)や「cons.」(Consensusの略)のように「予想」を意味する言葉が略されて使われていることが多いです。

対して、決算の結果を「act.」(Actualの略)や「Reported」と表記されることが多いです。

コンセンサスの調べ方

Yahoo!Financeを使って説明します。

まずhttps://finance.yahoo.com/を開きます。画面上部の検索バーにティッカーか企業名を入れます。試しにAAPL(アップル)で進めてみましょう。

開けたら次に、「Analysis」をクリックします。

「Analysis」を開くと下記のような画面が出たと思います。
赤い部分がコンセンサスのEPS、青い部分がコンセンサスの売上高です。右をみていくと一つ目に「Current Qtr.」の欄にぶつかります。ここが今期の予想値、その右隣の「Next Qtr.」が次期、さらにその右隣の「Current Year」が通期のコンセンサスとなっています。

決算発表されたら、結果と今期の欄の数字を見比べます。結果が勝っていたら決算OK

ガイダンスが発表されている場合、ガイダンス内容が次期の話でしたら次期の欄を見ます。次期ではなくて通期「FY〇〇」や「Fiscal Year」と書かれている場合は通期の欄を見て比較します。

 

以上ですが、いかがでしたか?思ったほど難しくないのではないかなとは思います。もし、自分でどうしても見れない場合でも、ツイッターやニュースサイトに結果は出ているので決算はしっかり追ってみてください。

 

最近増えているサブスクに特化した決算の見方の記事も是非ご覧ください。

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